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2021.08.20

失語症とは? ~訪問看護ステーションからのリハビリ~

コロナ対策として病院のお見舞制限の影響で、入院中のご家族様の様子や病状を把握できないまま退院されたケースが、このコロナ禍以降多く見られるようになりました。

身体の麻痺などは実際に見て判断できますが、失語症をはじめとした高次脳機能障害病状は見た目では判断できず、戸惑われているご家族もおられると思います。

今回は簡単に、失語症の状態と応対の方法についてご説明致します。

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〇失語症・高次脳機能障害とは…

失語症とは、高次脳機能障害の1つです。

高次脳機能障害とは、脳梗塞・脳出血などの病気や、事故・外傷などの原因で脳が損傷された際に起こる事があります。言語・注意・記憶等に問題が生じますが、損傷された脳の場所により、後遺症となる高次脳機能障害は異なります。


〇失語症の症状とは…

・失語症は、言葉に問題が生じた状態で、聞く・話す・読む・書く、それぞれに問題が起こります。

・聞くだけ・話すだけなど、1つに問題が起こる場合もありますが、そのような状態よりも4つそれぞれに問題がある方が大多数です。

・失語症も人によって症状が異なります。聞く事がとても苦手な方、話す事が少し難しくなった方など、100人の失語症の方がおられれば、100通り症状が異なります。

・その人らしさや、記憶を失ってはおられず、知的な問題でもありません。

・その場の雰囲気や相手の感情を読み取る力は、以前と全く変わりません。

・健常の方にとっては、馴染みのない外国語を周りが急に話し出したようなものです。相手の言葉がわからい・自分の話が通じない・読めない・書けない。けれど言いたい事伝えたい事はきちんとあり、記憶や相手の事はよくわかっている、という状態です。

・損傷した脳神経は残念ながら元に戻る事ができません。失語症が完全に治癒することは極めて難しい事になります。

〇失語症にどう接すればよいのか…

・1人の人間として、尊厳をもって接しましょう。ぞんざいな対応や赤ちゃん言葉などは絶対にいけません。

・話しかける場合は、何について話すのか話題をまず理解してもらいます。「〇〇だから□□で、△△だったけど、××になった」など、長く分かりにくい話し方は避ける必要があります。「〇〇で、□□だった。」「△△もあった。」「だから××になった。」など、短く簡単に、ゆっくりと話しかける事が良いでしょう。

・私たちが全く馴染みのない言語の文字を見ても理解できないよう、失語症の方も程度は異なりますが、文字の理解や書字に問題があります。50音表ならできるかも、と思われるご家族様が比較的多くおられますが、非常に難しい事なのでお勧めできません。

・具体的な名前や名詞を問う質問はとても難しい事になります。あらかじめ答えを提示した2択や、はい/いいえで答えられる質問など、簡単に答える事ができるよう配慮が必要です。

今まで当たり前のように話してこられたことが難しくなるため、ショックを受ける方が殆どです。ご本人の性格にもよりますが、その状態でも色々話そうと努力し、ご家族やご友人と言葉のやり取りをされる方、うまく会話が成立しなくとも家族とのコミュニケーションを楽しまれる方が、より症状が軽快されます。

細かい誤りは指摘せず、会話を楽しめることが1番と思います。

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〇失語症の訪問リハビリとは…

・失語症のタイプは多種多様な為、その人の状態に適切な課題は異なります。

・軽度の方には挨拶やカードを用いた簡単な選択課題・復唱や斉唱・音読など、軽度の方には宿題や文章レベルの課題や、より実践的な日常会話・呼称・文章産生・書字課題など、それぞれの言語聴覚士が適切と判断した課題を選択しています。

失語症とは、なかなか馴染みのない分かりにくい症状です。失語症や言語リハビリで不明な事や問い合わせなどございましたら、お気軽にご連絡下さい。

ココアには言語聴覚士が7名在籍しています

文責:古川