訪問看護に興味を持ったのは、実習で出会った患者様からの一言がきっかけでした。「訪問の看護師さんは私のことを見てくれるけど、病院の看護師さんは見てくれない」という言葉を耳にし、患者様一人ひとりと向き合うことが難しい環境ではなく、一人の方のために時間を使える在宅の現場で働きたいと考えるようになりました。ですが、技術や知識の向上を図るためには医療現場での実践も必要だと感じ、卒業後は大学病院の呼吸器センターへ入職。働きはじめてからは、患者様とのお話の途中で呼び出しがかかり、その場を離れるなど、実習時に耳にした言葉の意味を改めて痛感することも少なくありませんでした。さらに、キャリアを重ねるに連れてプライベートの時間を十分に取りづらくなったこともあり、興味を抱いていた訪問看護への転職を決意しました。ココアを選んだのは、自宅からの通いやすさや求人に書かれていた働きやすい職場環境に魅力を覚えたから。実際、17時までの固定勤務に変わったことで自分の時間を確保しやすくなったのはもちろん、先輩や上司とも積極的にコミュニケーションを重ねられる環境であったため、居心地の良さを覚えるのに時間はかかりませんでした。

普段から心がけているのは、ご利用者様はもちろんご家族様の想いも理解すること。特に訪問看護では少なくない看取りに関しては、ご家族様の捉え方により看護側の対応も変える必要があるので、慎重に言葉を選ぶ工夫も忘れません。病状や治療方針に対して、主治医からどのような説明がなされているかを可能な限りヒアリングし、状況に応じて適切なサポートができるよう努めています。看取りでの対応や接し方に対しては、今も葛藤を抱くことが多いものの、ご家族様からの言葉で救われることがあるのも事実です。つい先日も、奥様、娘様、愛犬に囲まれて旅立たれたご利用者様がいたのですが、看取り後に娘様から「病院では最期に立ち会えなかったかもしれませんが、自宅にいれたから亡くなる最期の瞬間まで一緒に過ごせました。本当にありがとうございます」と声をかけていただき、ご利用者様やご家族様の想いにきちんと寄り添えられたのだという確信や自信を持つことができました。訪問看護を行ううえで、今後も看取りは避けて通れません。だからこそ、ご利用者様やご家族様の一番近くにいる自分が、お考えや不安に寄り添える声かけができる存在になっていきたいです。